この度株式プレッパーズで販売を開始しました、転写プレートPoropare(TM)について説明します。
商品名・定価は以下の通りです。MALDI用とDESI用の二つをご用意しています。
Poropare™は、質量分析イメージング(MSI)の可能性を広げる画期的なサポートアイテムです。
これまでのMSIでは、マウスやラットなどの組織を採取し、ドライアイスや液体窒素で瞬間凍結させてから、-80℃で保存するという複雑な前処理が必要でした。さらに、クライオスタットと呼ばれる装置を用いて組織を薄い切片にし、スライドガラスに貼り付けるという、時間と技術を要する作業が不可欠でした。特に、MALDI-MSIの場合は、マトリックス(イオン化を助ける物質)を均一に塗布する必要があり、専用のスプレー装置(例:TM Sprayer™ )が使われていました。(図1)
一方、Poropare™(浜松ホトニクス製)は、こうした複雑で技術的な試料前処理を劇的に簡略化するソリューションです。この転写プレートは以前の転写プレートとは異なり、ガラス多孔体の有効面に独自のイオン化支援層を高精度に形成したことで、上記の手順を大幅に簡略化させることに成功しました。この転写プレートは、試料の観測面を露出させ、プレートに押し付けるだけで、試料中の成分をプレート上に転写することができます。これにより、熟練した技術が必要だった薄切作業を不要にし、従来のMSIでは測定が困難だった試料も測定可能になります。(図2)
この簡便な前処理方法がもたらすメリットは多大です。例えば、ゴーヤやキュウリのような水分を多く含む植物組織も、薄切せずにそのまま測定することができます。実際、DESI-QTOF-MSを用いたMSI分析では、ゴーヤとキュウリのサンプルから特定のイオン(例:m/z 175.1192)の分布を鮮明にイメージングすることに成功しています。(図3)
この技術は、DESI-MSI装置(DESI-QqQやDESI-QTOFなど)といった装置で利用できます。Poropare™は、前処理のボトルネックを解消することで、より多くの研究者がMSIを手軽に利用できる環境を提供し、幅広い分野での質量分析イメージングの可能性を大きく広げます。
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Poropare は浜松ホトニクス(株)の登録商標です。