「この菌は何か?」「どんな代謝をしているのか?」
そうした問いに、迅速かつ正確に応えられる分析技術が求められる時代。
いま、**質量分析計(Mass Spectrometer)**が、微生物研究の現場で新たなブレイクスルーを生み出しています。
浜松医科大学発ベンチャーであるプレッパーズは、医療・ライフサイエンス分野に特化した質量分析を提供しています。本コラムでは、微生物領域でのMS活用の魅力と応用可能性をご紹介します。
微生物は、人間にとって「脅威」にも「資源」にもなり得る存在です。
特に医療現場や創薬研究では、以下のようなニーズが高まっています:
分析目的 質量分析が担う役割
病原菌の迅速な同定 タンパク質指紋による種レベルの識別(MALDI-TOF)
薬剤耐性の判定 耐性酵素や分解産物の同定
代謝物の解析 二次代謝産物やバイオアクティブ物質の構造推定
微生物由来成分の同定 ペプチド、脂質、糖、ポリマーなどの構造解析
従来、培養と染色・PCRを要していた工程が、質量分析で“短時間かつ非ラベル”で可能になるケースも増えています。
ある総合病院では、血液培養陽性検体からの迅速な菌種同定にMALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析)が導入されました。
→ 通常2日かかっていた菌種同定がわずか数分〜1時間で完了。抗菌薬の早期選択が可能となり、入院期間の短縮と医療コストの削減に寄与しました。
大学の創薬研究グループでは、海洋微生物からの新規抗菌性ペプチドの探索において、高分解能LC-MS/MSを用いた構造スクリーニングが行われました。
→ 高分解能MS/MSにより得られたプロダクトイオンスペクトルを解析することにより、既知化合物と類似性の低い新規配列を特定。創薬の初期探索に繋がりました。
プレッパーズは、複数の高分解能MS/MSが可能な装置と長年培ったマススペクトル解析技術を駆使し、低分子・高分子を問わず、測定から構造解析支援までの一貫したデータ解析パイプラインを提供しています。
あるバイオマス研究所では、廃棄物から有用物質を産生する発酵微生物群の代謝プロファイリングに三連四重極質量分析計によるLC-MS/MSが活用されました。
→ 特定の炭素源から生成される有機酸、アルコール、ポリマー前駆体をリアルタイムでモニタリング。発酵条件の最適化や工業化設計に役立ちました。
私たちプレッパーズは、医療・創薬・環境バイオ領域での微生物関連分析において、以下のサービス・技術支援を行っています:
• 微生物代謝物(脂質、ペプチド、二次代謝産物など)の構造解析
• 高分解能MS(Orbitrap, TOF)による未知成分の構造推定
• 微量成分定量(LC-MS/MS)および比較プロファイリング
• 測定条件開発、共同研究、委託解析までフルサポート
質量分析は、微生物研究に革新をもたらす技術です。
従来の常識を超えて、「誰が・何を・どうしているか?」を分子レベルで読み解くその力は、感染症対策、創薬、環境保全においても重要な鍵となるでしょう。
プレッパーズは、大学発ベンチャーならではのフットワークで、研究現場の課題に寄り添います。