質量分析(MS)解析における「感度」の重要性:微量バイオマーカー

質量分析(MS)解析における「感度」の重要性:微量バイオマーカー

記事作成日

2026-01-05

最終更新日

2026-01-05

検出を可能にする技術の深掘り

1. はじめに:なぜ今、「高感度」が求められるのか

株式会社プレッパーズは、浜松医科大学発の医療・研究開発企業として、質量分析(MS)技術を核に、健康・医療分野の発展に貢献してまいりました。

近年の医療研究、特にバイオマーカーの探索や診断薬の開発において、分析技術に求められる水準はかつてなく高まっています。病気の早期発見や個別化医療の実現には、血液や尿などの微量な生体試料中に、ごくわずか(ピコモル/フェムトモルレベル)にしか存在しないターゲット分子を正確に見つけ出し、定量する能力が必要です。

この「微量な情報を確実に捉える力」こそが、質量分析における感度であり、プレッパーズが提供する分析サービスの根幹をなす要素です。

2. 質量分析における「感度」の定義

一般に、分析における感度とは、試料中の目的成分をどれだけ低い濃度まで検出・測定できるかを示す指標です。質量分析においては、この感度は以下の二つの主要な指標で具体的に評価されます。

1. 検出限界(LOD:Limit of Detection)

• その物質が存在することを確認できる最低濃度です。

2. 定量下限(LOQ:Limit of Quantification)

• その物質を、単に検出するだけでなく、指定された精度と正確さで信頼性高く定量できる最低濃度です。

感度が高い質量分析装置とは、ノイズレベルが低く、試料中の微量のターゲット分子から効率的にイオンを生成し、そのイオンをロスなく検出器に届けることができるシステムを指します。

3. 高感度分析が切り拓くバイオマーカー研究のフロンティア

プレッパーズが高感度にこだわり、技術開発を進めるのは、高感度分析こそが以下の重要な課題を解決する鍵となるからです。

① 早期診断の実現

疾患の初期段階では、関連するバイオマーカー(脂質、代謝物、ペプチドなど)の濃度は非常に低く、通常の分析では捉えられません。高感度MSを用いることで、疾患が進行する前に、微細な変化を捉えることが可能になり、診断を劇的に早める可能性が生まれます。

② 低侵襲・小容量サンプルの活用

日常的なモニタリングや特殊な検体(例えば、微小な組織や細胞)の分析においては、採取できる生体試料の量に限りがあります。高感度分析技術は、極めて少ないサンプルからでも、信頼できる分析結果を得ることを可能にします。

③ 複雑な生体マトリックスからの正確な定量

血液や尿は、数千種類もの分子が混在する複雑な環境です。高感度分析は、ターゲット分子をこの複雑なノイズの中から正確に識別し、分離し、増幅する技術が求められます。特に、生体内の微量な異性体や代謝経路の変化を捉えるために不可欠です。

4. プレッパーズが提供する高感度MS分析の技術的裏付け

プレッパーズでは、浜松医科大学での長年の研究実績に基づき、ターゲット分子を高感度に捉えるための独自の技術を統合しています。

① 最適な前処理技術の確立

質量分析の感度は、機器性能だけでなく、試料の前処理(サンプルの抽出・精製)に大きく依存します。当社では、ターゲット物質の特性に応じて、高効率で夾雑物を除去し、目的成分を濃縮する独自のノリアリゼーション(最適化)技術を適用し、MSへ送るシグナル純度を極限まで高めています。

② 特殊な測定モードの適用

ターゲット分子の分析感度を最大化するために、トリプル四重極型質量分析計(QQQ)を用いたMRM(多重反応モニタリング)などの超高感度なターゲット分析手法を適切に選択・適用します。これにより、バックグラウンドノイズを徹底的に排除し、目的とする微量シグナルのみを際立たせることが可能です。

5. まとめ

質量分析における「感度」は、単なるスペックではなく、医療や科学の進歩を支える信頼性の基盤です。プレッパーズは、浜松医科大学で培った高度な技術力と豊富な経験をもって、お客様の直面する最も困難な分析課題、特に微量バイオマーカーの検出と定量において、世界トップレベルの「高感度」ソリューションを提供し続けてまいります。

質量分析に関するご相談、特に感度が求められる受託解析のご要望がございましたら、ぜひ一度プレッパーズにご相談ください。

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